型付け後にグラブから異音がする原因と対処法|キシキシ音の正体を解説
こんにちは。Baseball Growth LabのSAKURAです。甲子園出場経験のある内野手として、現在はグラブの型付け・仕入れ販売の仕事もしています。今回は「型付け後にグラブから聞こえる異音」について、原因と対処法をお話しします。
型付けをしたばかりのグラブや、しばらく使い込んだグラブから「キシキシ」「ギシギシ」といった音が鳴ることがあります。突然聞こえると不安になる方も多いのではないでしょうか。
- 型付け後にグラブを開閉すると「キシキシ」と音がして壊れそうで怖い
- この音は型付けの失敗が原因なのか、正常な状態なのか判断できない
- 音を消すためにオイルを塗った方がいいのか分からない
- お店に相談した方がいいのか、様子を見ていいのか迷っている
型付けしてもらったグラブを開け閉めすると、キシキシ音がするようになりました。型付けに失敗したんでしょうか…?
安心してください、多くの場合は失敗ではなく正常な音です。私自身も自分のグラブでキシキシ音を経験していますが、原因は単純なもので、私はむしろその音が好きなくらいです。今日はその正体と、注意すべきケースの見分け方をお話ししますね。
グラブのキシキシ音の多くは革と革がこすれ合うことで生まれる摩擦音で、故障のサインではありません。特に型付け直後や、革がまだ新しいうちは鳴りやすい音です。ただし、音の種類や鳴る場所によっては、革の劣化や型付けの仕上がりに問題があるサインのこともあるため、見分け方を知っておくことが大切です。
この記事のポイント
| 見出し | 内容 |
|---|---|
| ①キシキシ音の正体 | 革と革の摩擦によって生まれる仕組みと、心配のいらない理由 |
| ②注意が必要な異音の見分け方 | 放っておくとよくない音のパターンと原因 |
| ③音が気になるときの対処法 | オイルケア・慣らし方など、日常でできる対応 |
こんな人におすすめ
- ✅ 型付け後のグラブからキシキシ音がして不安になっている方
- ✅ 音の原因が型付けの失敗なのか正常なのか知りたい方
- ✅ 音を消すべきか、そのままにしていいか迷っている方
- ✅ 新品・型付け直後のグラブを使い始めたばかりの方
- ✅ 長年使っているグラブから急に音がするようになった方
①グラブから聞こえるキシキシ音の正体
グラブから聞こえる「キシキシ」「ギシギシ」という音の多くは、グラブを開閉するときに革と革がこすれ合うことで生まれる摩擦音です。グラブは何枚もの革(表革・裏革・芯材を包む革など)を重ねて縫い合わせてつくられており、開閉のたびにそれぞれの革の面が微妙にずれてこすれます。このとき、革の表面同士の摩擦によって「キシキシ」という音が発生するのです。
私自身、型付けをしたグラブや使い込んだグラブでこの音を経験したことがありますが、悪いことだとは思っていません。革と革が開閉のたびにこすれて鳴っているだけの音で、むしろその音もグラブらしさの一つだと感じていて、個人的には好きな音でもあります。特に型付け直後や新品のグラブは、革同士がまだしっかり馴染んでおらず、こすれる面積・角度が安定していないため、音が鳴りやすい状態にあります。
高校・大学と多くのグラブを型付け・使用してきましたが、キシキシ音がまったく鳴らないグラブの方がむしろ珍しいというのが実感です。特に硬式用のグラブは軟式用に比べて革が厚く硬いものが多いため、開閉時の摩擦も大きくなりやすく、音が目立ちやすい傾向があります。仕入れ・型付けの仕事で他の方のグラブを見る機会も多いですが、キシキシ音を気にして相談される方の多くは、単に「音が鳴ること自体を知らなかった」というケースがほとんどで、実際に確認してみると特に問題のない摩擦音であることが大半です。
この摩擦音は、使い込んでいくうちに革同士の馴染みが進み、こすれ方が安定してくると自然と小さくなったり、鳴らなくなったりすることが多いです。つまり、キシキシ音そのものは「グラブが育っている途中のサイン」と捉えることもできます。無理に消そうとせず、慣らし期間の一部として受け止めてよいケースがほとんどです。
音が鳴りやすい構造上の理由
グラブの構造を少し詳しく見ると、キシキシ音がどこから生まれているかが分かりやすくなります。グラブは、表側の捕球面の革と、指を入れる裏側の革の間に芯材(硬さを保つための素材)を挟み込み、さらにウェブ部分の紐や、親指・小指のつけ根にあたる「クロス」と呼ばれる部分など、複数のパーツが組み合わさってできています。特に開閉の動きが集中するのは、親指側と小指側のつけ根、そしてウェブと本体のつなぎ目の部分です。これらの箇所は開閉のたびに革同士が最も強くこすれるため、キシキシ音が発生しやすいポイントになります。
型付けの工程では、ハンマーで芯材を打ち込んだり、蒸気やお湯で革を柔らかくしてから握り込んで型をつけたりします。この過程で革の繊維が一時的に締まった状態になり、革同士が密着しやすくなるため、型付け直後は特に摩擦音が出やすい状態になります。使い込むにつれて革の繊維がほぐれ、動きに合わせて滑らかに開閉できるようになると、音は自然と落ち着いていきます。

②注意が必要な異音の見分け方
ただし、すべての音を「気にしなくていい」と片付けてしまうのは早計です。中には、革の状態や型付けの仕上がりに問題があるサインとして異音が出ているケースもあります。次のような特徴がある場合は、少し注意して様子を見るようにしましょう。
- 「キシキシ」ではなく「バキッ」「パキッ」という乾いた高い音がする:革が乾燥してひび割れかけているサインの可能性があります。表面や折り目部分にひび割れがないか確認しましょう
- 特定の一箇所からだけ、開閉のたびに強い違和感を伴う音がする:縫い目のほつれや、芯材のズレが起きている可能性があります。見た目にも異常がないか確認してください
- 手入れをまったくしていない状態が長く続いている:革が乾燥した状態が続くと、摩擦音が大きくなりやすいだけでなく、革自体の劣化も進みます
ひび割れの有無を確認するときは、明るい場所でグラブを大きく開閉させながら、特に折り目が集中する親指・小指のつけ根、ウェブの根元、手のひら側の芯材付近を重点的にチェックしてください。細かい線のようなひび割れは見落としやすいので、指の腹で軽くなぞって引っかかりがないかも確認すると分かりやすいです。ひび割れを見つけた場合は、放置すると広がっていく可能性があるため、早めにオイルケアで乾燥を防ぐか、状態によっては専門店に相談しましょう。
| 音の特徴 | 心配のいらない音 | 注意が必要な音 |
|---|---|---|
| 音質 | キシキシ・ギシギシ(こすれる音) | バキッ・パキッ(乾いた音) |
| 鳴るタイミング | 開閉のたびに毎回同じように鳴る | 特定の動作・角度でだけ鳴る |
| 見た目の変化 | 特になし | ひび割れ・縫い目のほつれ・型崩れを伴う |
| 手入れ状況 | 定期的にオイルケアをしている | 長期間オイルケアをしていない |
逆に言えば、こうした「乾いた異常な音」「見た目の異常を伴う音」でなければ、基本的には心配しなくて大丈夫です。日頃のお手入れの基本については、こちらの記事でも詳しくまとめています。
また、型付け直後に想定と違う仕上がりになってしまい、その結果として不自然な音や引っかかりが出ているケースもあります。型付けの仕上がり自体に不安がある場合は、音だけで判断せず、以下の記事も参考にしてリカバリーの余地がないか確認してみてください。
③音が気になるときの対処法
「異常な音ではない」と分かっても、やはり気になってしまう方もいると思います。そんなときは、以下のような対処法を試してみてください。
- 少量のオイルを馴染ませる:革が乾燥気味だと摩擦音が大きくなりやすいため、専用のグラブオイルを薄く塗って揉み込むと、こすれが滑らかになり音が小さくなることがあります。塗りすぎは逆に型崩れの原因になるため、少量ずつ様子を見ながら行いましょう
- 普段通り使い込んで慣らしを進める:キャッチボールや素振りの延長で構わないので、開閉を繰り返して革同士の馴染みを進めることで、自然と音が落ち着いてくることが多いです
- 保管環境を見直す:湿気の多い場所や、逆に乾燥しすぎる場所での保管は、革の状態を不安定にして音が出やすくなる原因になります。風通しがよく、直射日光の当たらない場所で保管しましょう
私自身、ラベル部分に撥水加工をしたグラブを長期間使っていた経験がありますが、ラベル以外の部分は特別な加工をしなくても、通常のオイルケアと使い込みだけで摩擦音は自然と落ち着いていきました。焦って過剰にオイルを塗り込むより、少しずつ様子を見ながら対処するのがおすすめです。
オイルを塗る際は、音が気になる箇所だけをピンポイントで狙うのではなく、グラブ全体に薄く伸ばすことを意識してください。特定の箇所だけに厚く塗ってしまうと、その部分だけ革の硬さが変わり、かえって型崩れや別の違和感につながることがあります。指の付け根やウェブの根元など、開閉時に強くこすれる部分は特に乾燥しやすいので、そうした箇所を中心に、柔らかい布で薄く伸ばすように馴染ませるとよいでしょう。
なお、オイルにはさまざまな種類があり、保革を目的としたもの、艶出しを目的としたもの、汚れ落としを兼ねたクリーナータイプなど用途が異なります。キシキシ音の対処という観点では、まずは保革を目的とした基本的なグラブオイルを使い、革の乾燥を防ぐことを優先してください。
慣らし期間中の音の変化の目安
個体差やお手入れの頻度によって差はありますが、目安として音がどう変化していくかを知っておくと、過度に不安にならずに済みます。あくまで一般的な傾向としてですが、参考にしてみてください。
| 時期 | 音の状態の目安 |
|---|---|
| 型付け直後〜1週間 | キシキシ音が最も鳴りやすい時期。開閉のたびに聞こえることが多い |
| 2週間〜1ヶ月 | キャッチボールなどで使い込むにつれて、音が小さくなり始める |
| 1ヶ月以降 | 革が手の動きに馴染み、通常の使用では音がほとんど気にならなくなることが多い |
1ヶ月以上経っても音の大きさがまったく変わらない、あるいは音が大きくなってきていると感じる場合は、単なる慣らし不足ではなく、革の乾燥や型付けの仕上がりに何らかの問題がある可能性を考えた方がよいでしょう。
それでも改善しない場合や、②で挙げたような異常な音・見た目の変化を伴う場合は、無理に自己流で対処しようとせず、型付けをお願いしたお店に一度相談することをおすすめします。特に、型付け直後から通常とは違う異常な音がしていた場合は、お店側の仕上げ工程に原因がある可能性もあるため、早めに伝えておくとその後の対応がスムーズです。
型付け済みグラブを探している方へ
私自身が仕入れ・型付けを行ったグラブは、革の状態を一つひとつ確認したうえで、必要なケアを行ってから出品しています。良ければメルカリ・Yahoo!フリマもチェックしてみてください。
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まとめ
- グラブのキシキシ音の多くは、革と革がこすれ合う摩擦音で故障ではない
- 「バキッ」という乾いた音や見た目の異常を伴う音は要注意。ひび割れ・縫い目のほつれなどを確認する
- 気になる場合は少量のオイルケア・使い込み・保管環境の見直しで様子を見て、改善しなければお店に相談する
キシキシ音は、グラブが自分の手に馴染んでいく過程で起きる自然な現象であることがほとんどです。過度に心配せず、音の種類を見極めながら気長にグラブを育てていきましょう。むしろ、その音を「自分のグラブが育っているサイン」として楽しめるようになると、道具への愛着もより深まっていくはずです。
よくある質問
Q. 新品のグラブほど音が鳴りやすいのはなぜですか?
A. 新品や型付け直後のグラブは、革同士の馴染みがまだ進んでおらず、開閉時にこすれる面や角度が安定していないためです。使い込むにつれて革が手の動きに合わせて馴染み、音が落ち着いていくことが多いです。
Q. オイルを塗ったらすぐに音が消えますか?
A. 即座に完全に消えるとは限りませんが、革の滑りが良くなることで摩擦が減り、音が小さくなることが多いです。塗った直後よりも、数日かけて革に馴染んでから効果を実感しやすくなります。
Q. 音を完全になくすことはできますか?
A. 完全になくすというより、使い込みとケアによって「気にならない程度」まで落ち着かせるイメージが近いです。革を使う道具である以上、多少の摩擦音がゼロになることは少なく、それ自体は正常な状態です。
Q. 試合中に音が鳴ると相手や審判に何か言われることはありますか?
A. 通常のプレー中に鳴る程度の摩擦音でルール上問題になることはありません。安心してプレーに集中して大丈夫です。
Q. 硬式用と軟式用でキシキシ音の鳴りやすさに違いはありますか?
A. 一般的に硬式用のグラブは軟式用よりも革が厚く硬めにつくられていることが多いため、開閉時の摩擦が大きくなりやすく、音が目立ちやすい傾向があります。どちらの場合も、音の種類(摩擦音か乾いた異常音か)を基準に判断すれば問題ありません。
Q. お店に相談する場合、どのタイミングで持って行けばいいですか?
A. ひび割れや型崩れなど見た目の異常がある場合は早めに、単に音が気になるだけの場合は、まずは1ヶ月程度使い込んでみて、それでも改善しないタイミングで相談するのがおすすめです。使い込む前に相談すると、慣らし不足なのか本当の異常なのか判断がつきにくいことがあります。
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