こんにちは。Baseball Growth LabのSAKURAです。高校で甲子園、大学で全国大会を経験し、今はその経験を活かしてグローブの型付け・仕入れ・販売もしています。以前「ポジション別・型付けの違い」という記事で、ショート・セカンド・サードで変えるべき型付けのポイントについてお伝えしました。

ポジション別・型付けの違い|ショート・セカンド・サードで変えるべきポイント内野手専門で型付け・仕入れ販売を行うSAKURAが、セカンド・ショート・サードで型付けをどう変えているかを実務目線で解説します。ポケットの深さ・位置の違いも紹介。...

あの記事では扱いきれなかった一塁手用ミットについて、今回は続編として掘り下げていきます。一塁手用ミットは、通常の内野手用グローブとは構造そのものが大きく違うため、型付けで重視すべきポイントも変わってきます。私自身は普段ショートを守ることが多いのですが、型付け・仕入れの現場で一塁手用ミットに触れる機会も多く、その中で感じている「型付けの考え方の違い」を今回まとめてお伝えします。

新チーム発足のタイミングでポジションが変わり、初めて一塁を守ることになったという選手も多い時期だと思います。これまで慣れ親しんだ内野手用グローブの感覚をそのまま一塁手用ミットに当てはめてしまうと、思うように守備が安定しないことがあります。まずは構造の違いを理解するところから始めていきましょう。

一塁手用ミットの型付けについて、こんな悩みはありませんか?

  • 普通の内野手用グローブと同じ感覚で型付けしていいのか分からない
  • 一塁手用ミットならではの、型付けで意識すべきポイントを知りたい
  • ショートバウンドや悪送球にも対応できる捕球面を作りたい
  • ポケットをどのくらいの深さ・広さにすればいいのか目安が分からない
  • これから一塁を守ることになり、ミットの型付けについて基礎から知りたい
野球少年

今度から一塁を守ることになったんですけど、ミットの型付けって普通のグローブと同じ感覚でやっていいものなんでしょうか?何となく形が違う気はするんですが、どこを意識すればいいのか分からなくて…

SAKURA

いい質問ですね。一塁手用ミットは構造からして通常のグローブとは違うので、型付けで意識するポイントもかなり変わってきます。今日は構造の違いから、型付けで重視すべきポイントまで、順番にお伝えしていきますね。

一塁手用ミットの型付けは、ショートバウンドや悪送球など、あらゆる方向から来るボールを弾かずに収めることを最優先に考える必要があります。通常の内野手用グローブのように握り込んで捕るのではなく、ポケットを広く深く作り、一度収まったボールを落とさない捕球面を意識した型付けが求められます。芯の柔らかさや紐の締め方も、通常のグローブとは異なる考え方で調整していきましょう。

この記事のポイント

項目ポイント
①一塁手用ミットと内野手用グローブの構造の違い大きさ・芯の柔らかさ・指の分かれ方
②型付けで重視すべきポイントショートバウンド・悪送球への対応、ポケットの広さと深さ
③型付けの具体的な進め方・注意点芯の柔らかさの調整、紐の締め方、失敗しやすいポイント

こんな人におすすめ

  • ✅ 一塁手用ミットと通常の内野手用グローブの構造の違いを知りたい人
  • ✅ 一塁手用ミットならではの型付けの重視ポイントを知りたい人
  • ✅ ショートバウンドや悪送球にも対応できる捕球面を作りたい人
  • ✅ ポケットの深さ・広さの目安を知りたい人
  • ✅ これから一塁を守ることになり、ミットの型付けを基礎から知りたい人

①一塁手用ミットと内野手用グローブの構造の違い

型付けの話に入る前に、まず構造の違いを整理しておきましょう。一塁手用ミットは、ショート・セカンド・サードが使う内野手用グローブと比べて、いくつかの点で明確に構造が異なります。一塁手用ミットの選び方については、こちらの記事で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。

一塁手用ミットの選び方|内野手との違いも解説 こんにちは。Baseball Growth LabのSAKURAです。高校野球・大学野球を通じて内野手を専門にプレーし、甲子園出場も経...

まず大きく違うのが、指の分かれ方です。通常の内野手用グローブは、親指と人差し指以外の指がそれぞれ独立して動くように作られているのに対し、一塁手用ミットは親指と、それ以外の4本の指を収める部分の2つに分かれた構造になっています。この構造のおかげで、ミット全体を面として使い、広い範囲でボールを受け止めることができます。ショート・セカンド・サードの選手が指を使って細かくボールを扱うのとは、根本的に捕球の考え方が異なるのです。

次に、サイズそのものが大きく異なります。一塁手用ミットは通常の内野手用グローブよりもひと回り大きく作られており、捕球面積を広く確保できるようになっています。これは、送球がどんなコースに来ても、できるだけ広い範囲でカバーできるようにするための設計です。

項目内野手用グローブ(ショート・セカンド・サード)一塁手用ミット
指の分かれ方各指が独立して動く親指と4本指の2つに分かれる
サイズ比較的コンパクトひと回り大きい
芯の柔らかさ必要な部分にポケットを大きいポケットを
捕球の考え方素早い持ち替えも考えるまずは捕球する

こうした構造の違いがあるからこそ、型付けで重視すべきポイントも、通常の内野手用グローブとは異なる考え方で臨む必要があります。次の章から、具体的にどこを重視して型付けを進めればいいのかを見ていきましょう。

また、ブランドやモデルによっても、もともとの芯の硬さや面のしなり方には差があります。捕手用のミットに近い、比較的しっかりした芯が入っているモデルもあれば、内野手用グローブに近い、やや柔らかめの作りになっているモデルもあります。購入前にどちらのタイプに近いモデルなのかを把握しておくと、型付けにかかる手間や期間のイメージもつきやすくなります。芯がしっかりしているモデルほど、面全体を柔らかくするまでにやや時間がかかる傾向があると言われています。

なぜこの構造になっているのか

一塁手用ミットがこうした構造になっている理由は、求められる役割から逆算すると分かりやすくなります。ショート・セカンド・サードは、自分でゴロを処理し、そこから素早く送球に移る動作が求められるため、指を使って細かくボールをコントロールできる構造が適しています。一方、一塁手は「あらゆる方向から来る送球を、できるだけ広い範囲で確実にとる」ことが最優先の役割です。指を分けて細かく使う構造よりも、面としての強度と広さを確保できる構造の方が、この役割には合理的だと考えられます。捕手用ミットが同じように指が分かれていない構造をしているのも、同じ理由からだと言われています。

②型付けで重視すべきポイント

一塁手というポジションを考えると、他のポジションと比べて圧倒的に多く求められるのが「他の内野手からの送球を受け止める」という役割です。しかも、その送球は必ずしも正確なコースに来るとは限りません。低いバウンドで来ることもあれば、逸れた送球が来ることもあります。ショート・セカンド・サードが自分でゴロやフライを処理する頻度が高いのに対し、一塁手は「他の選手が投げた送球をいかに確実に収めるか」が守備の中心になるポジションです。この役割の違いこそが、型付けで重視すべきポイントを決める一番の軸になります。

特に試合終盤や緊迫した場面ほど、他の内野手からの送球は焦りや力みによって乱れやすくなります。ショート・セカンド・サードの選手が難しい体勢から無理やり投げた送球を、一塁手がいかに落ち着いて処理できるかが、そのままチーム全体の失点を防ぐことにもつながります。だからこそ一塁手用ミットの型付けは、見た目の完成度以上に「実戦で信頼できる捕球面かどうか」を最優先に考える必要があるのです。

この考え方を整理すると、次の3つのポイントに集約できます。それぞれ次の章で具体的な型付けのやり方とあわせて詳しく解説していきます。

  • ショートバウンドを弾かない:急いで投げられた低い送球でも衝撃を吸収できる柔らかさに仕上げる
  • ポケットを広く深くする:送球のコースが多少ずれても収められる面を確保する
  • 一度収まったら落とさない:握り込む動作がなくても、面としての保持力を持たせる

ショートバウンドを弾かない捕球面を作る

一塁への送球は、内野の深い位置から急いで投げられることも多く、ワンバウンド・ショートバウンドになるケースが少なくありません。ここでミットの捕球面が硬いままだと、せっかく正確に投げられた送球でもボールが弾かれてしまい、悪送球でなくてもエラーとして記録されてしまうことがあります。型付けの段階で捕球面全体をしっかり揉み込み、ボールが当たった衝撃を吸収できる柔らかさに仕上げておくことが、ショートバウンド処理の土台になります。

ショートバウンドの処理は、グラブさばきだけでなく足の運びとの連動も大切ですが、そもそもミット自体が硬く衝撃を吸収できなければ、どれだけ足の動きが良くても弾いてしまいます。捕球面が硬いままだと、ボールが当たった瞬間に「バチン」という硬い音がして跳ね返ってしまうことがありますが、しっかり型付けされた捕球面であれば、衝撃を吸収して「スッ」と収まる感触になります。この感触の違いを、キャッチボールの中で自分の手で確かめながら型付けを進めていくとよいでしょう。

ポケットを広く深く作り、収まったボールを落とさない

通常の内野手用グローブであれば、ポケットの位置はある程度狭い範囲に絞り込んで、そこに正確にボールを収めることを重視しますが、一塁手用ミットの場合は逆の発想が必要です。送球のコースは毎回同じ場所に来るとは限らないため、ポケットを広く深く作り、多少コースがずれても収められる面を確保しておくことが重要になります。そして、一度その面にボールが収まったら、握り込む動作がなくても落とさないようにする。これが一塁手用ミットの型付けにおける最大のテーマだと言えます。

広く深いポケットを作るためには、キャッチボールの段階から、ミットの中心だけでなく、やや外れた位置にもボールを収める練習を意識的に取り入れるとよいでしょう。捕球位置を一箇所に固定せず、面全体を使って型付けを進めていくイメージです。

ポケットの「深さ」については、深ければ深いほど良いというわけでもありません。あまりに深く仕上げてしまうと、ボールを収めた後、送球のためにミットからボールを取り出す動作がワンテンポ遅れてしまうことがあります。特にダブルプレーの中継や、際どいタイミングでのタッチプレーでは、この一瞬の遅れが命取りになることもあります。「弾かないための深さ」と「取り出しやすさ」のバランスを意識しながら、自分のプレースタイルに合った深さを探っていくことが大切です。

悪送球を拾うための捕球面を意識する

一塁手にとって避けて通れないのが、悪送球への対応です。左右に大きく逸れた送球や、地面に叩きつけられるような低い送球であっても、できる限り拾いにいく場面が出てきます。こうした場面では、ミットの先端(指先側)まで柔らかく、かつしっかりボールを収められる状態になっているかどうかが、拾えるか拾えないかの分かれ目になります。捕球面の中心付近だけを重点的に型付けしてしまうと、先端側が硬いまま残ってしまい、ぎりぎりの送球を弾いてしまう原因になります。ミット全体、特に先端部分まで丁寧に揉み込んでおくことを意識しましょう。

また、悪送球への対応では、ミットだけでなく体の使い方も重要になりますが、その土台となるのはやはり道具です。どれだけ良い体勢で追いついても、ミットの先端が硬いままではボールを弾いてしまい、追いついた意味がなくなってしまいます。逆に先端まで柔らかく仕上がっていれば、多少無理な体勢で伸ばした状態でも、ボールを収めやすくなります。体の使い方と道具の仕上がり、両方が揃って初めて、悪送球への対応力が実戦レベルで発揮されると考えてください。

タッチプレー・ダブルプレーとの兼ね合いも意識する

一塁手は、悪送球やショートバウンドを処理するだけでなく、ランナーへのタッチプレーやバックホーム時の中継役を担う場面もあります。こうした場面では、ボールを収めた直後に素早くミットからボールを取り出す動作が必要になります。前述の通りポケットを深くしすぎるとこの取り出し動作が遅れやすくなるため、「弾かないための柔らかさ・深さ」と「取り出しやすさ」の両立を意識した型付けが求められます。タッチプレーを確実に決めるための動作については、こちらの記事も参考にしてください。

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一塁手の実際の捕球動作・ベースワークについては、こちらの記事もあわせて参考にしてください。

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③型付けの具体的な進め方・注意点

ここからは、実際に型付けを進める際の具体的な手順と、失敗しやすいポイントについてお伝えします。基本的な型付けの流れ(オイルを入れて揉み込み、キャッチボール・ノックで馴染ませていく)は通常のグローブと大きくは変わりませんが、力の入れどころが違います。

基本の手順:オイル入れから面の馴染ませまで

大まかな手順は次のような流れになります。

  • 1. 全体にオイルを塗布する:捕球面の中心だけでなく、先端や親指の付け根部分まで、ムラなく薄く塗り広げます
  • 2. 手で揉み込む:面全体を握るように揉み込み、革を少しずつ動かして柔らかくしていきます。中心だけでなく、外周部分も同じくらいの力加減で揉み込みましょう
  • 3. キャッチボールで馴染ませる:中心だけでなく、あえてやや外れた位置にもボールを収めながらキャッチボールを重ねます
  • 4. 面の張りを確認する:揉み込みすぎて先端がふにゃふにゃになっていないか、こまめに手で押して確認します
  • 5. 必要に応じてオイルを追加する:硬さが残っている部分にピンポイントでオイルを追加し、再度揉み込みます

通常の内野手用グローブの型付けと大きく違うのは、2と3の工程で「一点に集中させない」ことを意識する点です。ポケット位置を絞り込んでいく通常のグローブの感覚のまま進めてしまうと、面の一部だけが柔らかくなり、他の部分が硬いまま残ってしまいます。揉み込みも、キャッチボールでボールを収める位置も、意識して面全体に分散させるようにしましょう。

一人で練習する場合は、壁当てやトスマシンを使って、あえていろいろな高さ・コースにボールを投げてもらい、それをミットのさまざまな位置で受け止める練習が効果的です。チームメイトと組んで練習できる場合は、実際にゴロを捕球してもらい、一塁ベースに向けて送球してもらう練習を繰り返すことで、実戦により近い形で面全体を馴染ませていくことができます。特に、あえて多少コースを外して投げてもらう練習を取り入れると、ポケットの端の方まで柔らかく仕上げるのに役立ちます。

芯の柔らかさは「面全体」を意識して調整する

通常の内野手用グローブは、ポケット周辺を重点的に揉み込んで、ボールを収める一点に柔らかさを集中させる型付けが基本になります。一方、一塁手用ミットは前述の通り面全体でボールを受け止める構造なので、一箇所だけを重点的に柔らかくするのではなく、ミット全体を均一に近い柔らかさに仕上げていくイメージで進めるとよいでしょう。中心だけ柔らかくて周辺が硬いままだと、送球のコースによって捕球の安定感にムラが出てしまいます。

面全体を均一に仕上げるには、通常のグローブよりも揉み込みの回数自体は多く必要になる傾向があります。一箇所を重点的に仕上げるのではなく、面全体を少しずつ何度も往復するようなイメージで揉み込んでいくと、部分的なムラが出にくくなります。一度にすべてを仕上げようとせず、数日かけて少しずつ全体の柔らかさを均していく方が、結果的に安定した仕上がりになりやすいです。

紐の締め方でポケットの深さを調整する

一塁手用ミットは、親指側と4本指側をつなぐ紐(レース)の締め具合によって、ポケットの深さをある程度調整できます。紐をきつく締めすぎると、ポケットが狭くなりすぎて、コースが少しでもずれた送球を弾きやすくなってしまいます。逆に緩めすぎると、面としての張りが失われて、ボールを受け止めたときの安定感がなくなってしまいます。最初はやや緩めに調整しておき、キャッチボールを重ねながら「弾きやすいか」「安定して収まるか」を確認して、少しずつ自分の感覚に合う締め具合に調整していくのがおすすめです。中古のミットを仕入れる際にも、私はこの紐の状態を必ずチェックしています。紐が伸びきっていたり、締め直しの跡が偏っていたりするミットは、前の持ち主がどんな捕球感覚を求めていたかが分かる一方で、自分の理想の深さに調整し直すのに手間がかかることもあるためです。紐の交換・調整の基本については、こちらの記事も参考にしてください。

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硬式・軟式でも意識するポイントは共通

硬式と軟式で型付けの意識点そのものが変わる部分もありますが、一塁手用ミットに関しては「面全体でボールを弾かずに収める」という基本の考え方は共通しています。ただし硬式球の方が衝撃が強いため、捕球面の柔らかさの仕上げにはより丁寧な揉み込みが必要になると言われています。硬式・軟式それぞれの型付けの違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

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失敗しやすいポイント:先端まで柔らかくしすぎない

ここまで「面全体を柔らかく」とお伝えしてきましたが、一つ注意しておきたいのが、ミットの先端(指先部分)を柔らかくしすぎると、逆に型崩れの原因になりやすいという点です。先端まで極端に柔らかくしてしまうと、面としての張りが失われ、悪送球を弾く方向に力が逃げてしまうことがあります。あくまで「弾かない程度の柔らかさ」を目指すのであって、「ふにゃふにゃに柔らかくする」こととは違います。揉み込みの際は、少しずつ様子を見ながら進め、面の張りが失われていないかを都度確認するようにしましょう。

もう一つよくある失敗が、親指部分だけを重点的に型付けしてしまうケースです。親指は動かしやすい分、無意識のうちに何度も曲げ伸ばししてしまい、他の部分より先に柔らかくなりがちです。しかし悪送球やショートバウンドは、必ずしも親指側に来るとは限りません。4本指側の面も含めて、意識的に同じくらいの頻度で揉み込むようにしないと、結果的に片側だけが柔らかく、反対側が硬いままの「アンバランスなミット」になってしまいます。型付けにかかる期間の目安については、こちらの記事も参考にしてください。

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型付けに使う道具そのものについては、こちらの記事もあわせて参考にしてください。

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まとめ

  • 一塁手用ミットは指の分かれ方・サイズ・芯の柔らかさが通常の内野手用グローブと大きく異なる
  • 型付けは「握り込む」ではなく「面全体で弾かずに収める」ことを重視する
  • ポケットは広く深く作り、コースがずれた送球にも対応できるようにする
  • ショートバウンド・悪送球に対応するため、先端部分まで丁寧に揉み込む
  • 柔らかくしすぎると面の張りが失われるため、「弾かない程度の柔らかさ」を目指す

一塁手用ミットの型付けは、通常の内野手用グローブとは発想の出発点そのものが違います。「握り込んで確実につかむ」のではなく、「面全体でどんな送球も弾かずに収める」という考え方に切り替えて型付けを進めることが、一塁手というポジションの守備を支える土台になります。ショートバウンドや悪送球への対応力は、実戦での信頼にも直結する部分なので、焦らず丁寧に仕上げていってください。

一塁手は、他の内野手が投げる送球を最後に受け止める「最後の砦」とも言えるポジションです。どんなに難しい体勢からの送球であっても、一塁手が確実に収めてくれるという信頼感は、投げる側の内野手にとっても大きな安心材料になります。ミットの型付けを丁寧に仕上げておくことは、単に自分の守備力を上げるだけでなく、チーム全体の内野守備の安定感を底上げすることにもつながっていきます。

今回お伝えした内容は、あくまで型付け・仕入れの現場で私が意識しているポイントをまとめたものです。ミットの個体差や自分の手の感覚によっても最適な仕上げ方は変わってくるので、実際にキャッチボール・ノックを重ねながら、自分なりの感覚を掴んでいってもらえればと思います。

最初は「面全体を意識する」という感覚がつかみにくいかもしれませんが、キャッチボールを重ねるうちに、ミットのどの位置で受けても弾かなくなってきた、という手応えを感じられるようになってきます。その感覚をつかめたときが、一塁手用ミットが本当の意味で自分の道具になった瞬間だと言えるでしょう。

これから一塁を守ることになった人も、すでに一塁手として長く守ってきた人も、今使っているミットの捕球面を一度見直してみてください。中心はしっかり柔らかいのに、端の方だけ硬いままになっていないか。親指側と4本指側で、柔らかさに差が出ていないか。気になる部分が見つかったら、この記事で紹介した手順を参考に、少しずつ調整していってもらえればと思います。

よくある質問

Q. 一塁手用ミットも他の内野手用グローブと同じ道具で型付けできますか?

A. 基本的にはオイル・ムートン・グラブハンマーなど、同じ道具で対応できます。ただし前述の通り、力の入れどころ(面全体を意識するか、一点に絞るか)が異なるので、道具は同じでも進め方の意識を変える必要があります。

Q. ポケットを広く作りすぎると、逆にデメリットはありますか?

A. 広く深くしすぎると、今度はボールを収めた後にミットから出す動作(タッチプレーやダブルプレーの送球への切り替え)がやや遅れやすくなる可能性があります。広さと深さは「弾かない」ことを優先しつつ、必要以上に広げすぎないバランス感覚も大切です。

Q. 新品の一塁手用ミットは、どのくらいの期間で使えるようになりますか?

A. 目安は通常の内野手用グローブと大きくは変わらず、毎日使う前提でキャッチボールに使えるまで1週間ほど、実戦投入までは1〜3ヶ月ほど見ておくとよいでしょう。ただし面全体を均一に仕上げる分、部分的に仕上げる場合よりもやや時間がかかると感じる人もいるようです。

Q. 中学生・高校生から一塁を守ることになった場合、特別に意識すべきことはありますか?

A. これまで内野手用グローブを使ってきた人ほど、「握り込んで捕る」感覚が染みついているため、最初は面で受け止める感覚に戸惑うことが多いです。型付けの段階から「握り込まなくても落ちない」状態を作っておくことで、実際の捕球練習でもその感覚を掴みやすくなります。

Q. 型付けを自分でやる自信がない場合はどうすればいいですか?

A. お店に依頼する、またはすでに型付けが済んだミットを選ぶという方法があります。特に一塁手用ミットは面全体を意識した型付けが必要になるため、感覚がつかめるまでは、経験のある人やお店に相談しながら進めることをおすすめします。

Q. 親指部分だけ硬いまま残ってしまった場合、後から直せますか?

A. 気づいた段階でオイルを追加し、その部分を重点的に揉み込み直すことである程度改善できることが多いです。ただし革が硬化してしまってから時間が経っていると、修正に時間がかかる場合もあります。日頃から面全体をまんべんなく揉み込む意識を持っておくことが、そもそもの予防につながります。

Q. 一塁手用ミットは中古で購入しても問題ないですか?

A. 状態が良ければ問題ありません。ただし紐の伸び具合や、面の柔らかさが均一かどうかは、実際に手にはめて確認することをおすすめします。特定の部分だけ極端に柔らかい、または硬いミットは、前の持ち主の使い方の癖が強く出ている可能性があるため、自分の感覚に合わせて再調整する前提で選ぶとよいでしょう。

Q. ポケットの深さと取り出しやすさは、どちらを優先すべきですか?

A. 基本的には「弾かないこと」を最優先に考えるのがおすすめです。取り出しの速さは、深さそのものよりも、日頃の練習でミットからボールを持ち替える動作に慣れることでもかなり改善できます。まずはしっかり収める深さを確保したうえで、送球への切り替え動作を練習で磨いていくという順番で考えるとよいでしょう。

Q. 一塁手用ミットは他のポジションを守る選手でも使う練習をした方がいいですか?

A. 必須ではありませんが、控えの一塁手を兼任する可能性がある選手や、緊急時に一塁を守る可能性がある選手であれば、面で捕球する感覚を一度体験しておくと安心です。普段の内野手用グローブとは異なる捕球感覚を知っておくことで、いざというときにも落ち着いて対応しやすくなります。

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SAKURA
Baseball Growth Lab運営者のSAKURAです。高校野球・大学野球を通じて内野手としてプレーし、甲子園出場も経験しました。その経験を活かし、内野手向けのグローブ選び・型付け・守備力向上に関する情報を発信しています。型付け済みグローブの仕入れ・販売も自ら手がけており、実際に手に取った実感をもとにレビューや解説を書いています。