緊張しないメンタルの整え方|甲子園経験者のルーティン
こんにちは。Baseball Growth LabのSAKURAです。高校野球・大学野球を通じて内野手を専門にプレーし、甲子園出場も経験しました。現在はその経験を活かして、型付け済みグローブの仕入れ・販売にも携わっています。
今回のテーマは、道具でも技術でもなく「メンタル」です。練習ではできているのに、試合になると、しかも1点を争うような大事な場面になるほど、体が固まって思うように動けなくなる。そんな経験がある選手は多いのではないでしょうか。私自身、小学校から大学まで全国大会という舞台に立たせてもらった中で、緊張で押しつぶされそうになった場面が何度もありました。今回は、そのときに実際にやっていた気持ちの整え方を、できるだけ具体的にお伝えします。
捕球フォームや送球のコツ、体幹トレーニングなど、技術や体の使い方に関する内容はこれまでの記事でいくつも紹介してきました。ただ、どれだけ良いフォームを身につけても、大事な場面で緊張のあまり体が硬直してしまえば、練習で積み上げてきたものを試合で発揮することはできません。技術・フィジカル・メンタルの3つは、内野手として結果を出すための三本柱だと私は考えています。中でもメンタルは、目に見えないぶん後回しにされがちですが、実際には残り2つを試合で活かせるかどうかを左右する、土台のような役割を担っている部分だと感じています。
- 大事な場面になるほど、体が固まって普段の動きができなくなる
- 「ミスをしたらどうしよう」という不安が頭から離れない
- 緊張をほぐす方法をいろいろ聞くが、自分に合うものが分からない
- 試合前に何をすれば気持ちが落ち着くのか知りたい
- チームメイトや我が子に、緊張との向き合い方を伝えたい
大事な試合になると、頭では分かっているのに体が硬くなって、いつもの半分くらいしか動けている気がしません…どうすればいいんでしょうか。
その感覚、すごくよく分かります。私も甲子園の舞台では何度も体が固まりそうになりました。今日は、私が試合前に実際にやっていた映像チェックや言葉の置き換え方、声出しの効果まで、具体的なルーティンとして紹介していきますね。
緊張は消そうとするほど強くなります。大切なのは緊張をゼロにすることではなく、「できているイメージ」を先に作っておくことと、不安な言葉を前向きな言葉に置き換える習慣を持っておくことです。この2つがあるだけで、同じ緊張でも体の動きは大きく変わってきます。
この記事のポイント
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| ①試合前に「できているイメージ」を作る映像ルーティン | 過去の成功プレーの映像を見て、脳に成功体験を思い出させる |
| ②不安な言葉を前向きな言葉に置き換える考え方 | 「ミスしたらどうしよう」を「できるぞ」に変換する具体的なフレーズ |
| ③声を出す・お気に入りの道具を持つ、体からのアプローチ | 声出しで体を軽くする、安心できる道具を身につける工夫 |
こんな人におすすめ
- ✅ 大事な場面になるほど体が固まってしまう人
- ✅ 「ミスしたらどうしよう」という不安が頭から離れない人
- ✅ 緊張をほぐす自分なりの方法をまだ持っていない人
- ✅ 試合前にできる具体的なルーティンを知りたい人
- ✅ 子どもや後輩に緊張との向き合い方を伝えたい保護者・指導者
①試合前に「できているイメージ」を作る映像ルーティン

私が試合前によくやっていたのが、自分の過去の映像を見返すことです。それも、失敗した場面ではなく、うまくいった守備の動画や、快音を残した打席の動画をあえて選んで見るようにしていました。人間は不安なことを考えているときほど、その不安な通りの結果を体が再現しようとしてしまう部分があると感じています。逆に「自分はこういうプレーができる」という映像を試合直前に頭に入れておくと、いざその場面が来たときに、体がその成功イメージをなぞろうとしてくれる感覚があります。
特別な機材は必要ありません。スマートフォンで撮ってもらった過去の練習や試合の動画で十分です。逆シングルでうまく打球を捕った場面、送球がノーバウンドで一塁に届いた場面、痛烈な当たりを弾き返した打席など、自分が「あのときは自信を持ってプレーできていた」と思える映像を何本かまとめておき、試合当日、球場に向かう車の中やロッカーでの準備時間に見返す。これだけで、頭の中の主役が「不安な自分」から「うまくいっている自分」に切り替わっていく感覚がありました。
もう一つ意識していたのは、映像を見るタイミングです。試合が始まる直前ギリギリだと、逆に緊張感を高めてしまうこともあるので、私の場合はアップを始める少し前、まだ気持ちに余裕があるタイミングで見るようにしていました。見た直後にすぐ体を動かすアップに入ることで、映像で作ったイメージを体の感覚にそのままつなげていく、という流れです。動画を見て終わりではなく、その後の準備運動と組み合わせることで、頭のイメージと体の準備が同時に整っていく感覚を大事にしていました。
このルーティンを続けていて感じたのは、映像を見る習慣そのものが「自分は準備してきた」という安心感にもつながるということです。緊張の多くは「準備不足かもしれない」という漠然とした不安から生まれます。過去にできていた自分の姿を具体的な映像で確認することは、その不安に対する一番シンプルな反証になります。ぜひ、練習や試合の映像が残っていたら、失敗の振り返りだけでなく、こうした「できているイメージ作り」にもぜひ活用してみてください。
これは守備の場面だけでなく、打席に入る前にも同じことをしていました。守備でうまくいった映像と、快音を残した打席の映像を分けて用意しておき、守備につく前と打席が近づいてきたタイミングで、それぞれに合った映像を見返す。守備と打撃では求められる集中の質が少し違うので、場面ごとに「できているイメージ」を切り替えられるように準備しておくと、一日の中で何度も訪れる緊張の瞬間に、そのつど対応しやすくなります。特に、先発でスタメン出場する試合と、途中から守備固めで入るような試合とでは、心の準備にかけられる時間も変わってくるので、短い時間でも見返せるように映像を数本に絞っておくことをおすすめします。
②不安な言葉を前向きな言葉に置き換える考え方
映像で作ったイメージと同じくらい大切にしていたのが、頭の中で自分にかける「言葉」です。「自分にはできないかもしれない」「今日ミスをしてしまったらどうしよう」。こうした言葉が頭に浮かんでいる状態では、どれだけ技術があっても、思った通りのプレーはできません。これは私自身、甲子園という大きな舞台に立って何度も痛感したことです。不安な言葉を頭の中で唱え続けている限り、体は無意識にその不安通りの結果を避けようとして、逆に力んだり縮こまったりしてしまいます。
だからこそ私は、不安な言葉が浮かんだ瞬間に、意識的に前向きな言葉に置き換えるようにしていました。「俺はできる。こんなに練習してきたんだから」。「こんな素晴らしい仲間と一緒に戦えるんだから、たとえミスをしても誰かがカバーしてくれる」。この2つの言葉は、私が実際に頭の中で繰り返していたフレーズです。自分の練習量を根拠にすることと、仲間の存在を根拠にすること。この2つを言葉にして自分に言い聞かせるだけで、不思議と体の力みが抜けていく感覚がありました。
ポイントは、根拠のない「大丈夫、大丈夫」という言葉ではなく、自分が積み重ねてきた事実に基づいた言葉を選ぶことだと思っています。「これだけ練習してきた」という事実、「このメンバーで戦ってきた」という事実は、誰にも否定できません。不安な気持ちが湧いてきたときほど、根性論的な励ましではなく、自分が実際に積み上げてきたものを思い出す言葉に置き換える。この習慣は、今振り返っても、大事な場面での自分を一番支えてくれた考え方だったと感じています。
不安な言葉が浮かびやすいタイミングにも傾向があると感じています。私の場合、試合前のシートノックで一つでもミスをしてしまうと、そこから不安が連鎖しやすくなっていました。だからこそ、シートノックで思うようにいかなかったときこそ、意識的に「今のは今の1球。試合とは関係ない」と頭の中で区切りをつけ、先ほどの言葉に置き換える作業をするようにしていました。不安のきっかけは人それぞれ違うと思うので、自分がどんな場面で不安な言葉が浮かびやすいかを一度振り返っておくと、いざそのタイミングが来たときに、あらかじめ用意しておいた前向きな言葉にすぐ切り替えやすくなります。
③声を出す・お気に入りの道具を持つ、体からのアプローチ
ここまでは頭の中の考え方の話でしたが、体の側からアプローチする方法も併用していました。その一つが「声を出すこと」です。声を出すことは、単に元気があるように見せるためのものではなく、実際にモチベーションが上がる感覚がありますし、声を出すことで体の動きそのものが軽くなる感覚もありました。緊張しているときほど呼吸が浅く、体がこわばりがちになりますが、大きな声を出す動作は自然と深い呼吸を伴うため、結果的に体の緊張をほぐすことにもつながっていたのだと思います。また、声を出すことはチームメイトに対する合図にもなります。自分が声を出せば、周りも声を返してくれる。その掛け合いの中で「一人で戦っているわけではない」という感覚が生まれ、それが前の項目で触れた「仲間がカバーしてくれる」という安心感を、より実感を持ったものにしてくれる効果もあったと思います。
もう一つ大事にしていたのが、お気に入りの道具や、身につけると心が安らぐ道具を持っていくことです。使い慣れたグローブ、長年使っているリストバンド、お守り代わりのアイテムなど、何でも構いません。「これを持っていれば大丈夫」と思える道具を身につけることは、不安定になりがちな気持ちを支える小さな錨のような役割を果たしてくれます。特に、手に馴染んだグローブは、捕球の瞬間に「いつも通りの感覚」を思い出させてくれる存在でもあり、道具への安心感がそのままプレーへの安心感につながっている部分は大きかったと感じています。
声出しと道具は、それぞれ単体でも効果はありますが、私は試合前の一連の流れとして「ルーティン化」してしまうことをおすすめしています。例えば、グラウンドに入ったらまずお気に入りのリストバンドを身につける、キャッチボールの最初の1球で必ず大きな声を出す、といったように、決まった動作を決まった順番で行うようにしておくと、その動作自体が「これで準備は整った」という合図になります。毎回同じ手順を踏むことで、緊張していても体が迷わずに動くようになり、頭の中の不安が体の動きにまで影響するのを防ぎやすくなる感覚がありました。
映像でイメージを作り、言葉で気持ちを前向きに整え、声と道具で体からもアプローチする。この3つを組み合わせることで、緊張そのものをなくすことはできなくても、緊張と付き合いながら自分らしいプレーに近づけていくことができます。一度に全部を試す必要はないので、まずは自分に合いそうなものから一つ、次の試合で試してみてください。
大事なのは、これらのルーティンを「大事な試合の日だけ」特別にやろうとしないことです。普段の練習試合や紅白戦の段階から同じ手順を繰り返しておくことで、本番でも自然に体が反応してくれるようになります。逆に、公式戦の日だけ急に新しいことを試そうとすると、その新しさ自体が緊張の材料になってしまうこともあります。ふだんから使い慣れたルーティンを、少しずつ自分の型として育てていくつもりで取り組んでみてください。
私自身、こうしたルーティンを最初から完璧にできていたわけではありません。試行錯誤を重ねる中で、自分に合う方法とそうでない方法が少しずつ見えてきました。皆さんも、今回紹介した内容をそのまま真似るだけでなく、自分に合う形にアレンジしながら、自分だけのルーティンを作り上げていってもらえたらと思います。
なお、今回紹介したのは、試合前や大事な場面で誰もが感じる一般的な緊張との向き合い方です。もし送球など特定の動作そのものに恐怖心が固定化してしまっている場合は、また別のアプローチが必要になります。そうした場合は、こちらの記事も参考にしてみてください。
型付け済みグローブを探している方へ
今回紹介した「お気に入りの道具を身につける」という話にもつながりますが、手に馴染んだグローブは、それ自体が緊張をやわらげてくれる安心材料になります。逆に、グローブが硬く扱いにくい状態だと、余計な不安の種を一つ抱えたまま試合に入ることになってしまいます。
確かに、グローブの状態に不安があると、それだけで気持ちが落ち着かなくなりそうです…
その通りです。私が捕球面までしっかり型付けを済ませたグローブも出品しているので、道具の面での不安を減らしておきたい方はチェックしてみてください。
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まとめ
- 緊張をなくそうとするより、「できているイメージ」を先に作っておくことが大切
- 試合前に過去の成功映像を見返すことで、頭の中の主役を不安から成功体験に切り替える
- 不安な言葉が浮かんだら、自分の練習量や仲間の存在を根拠にした前向きな言葉に置き換える
- 声を出すこと、お気に入りの道具を身につけることも、体からの立て直しに効果がある
緊張は、真剣に試合に向き合っている証でもあります。だからこそ、なくそうとするのではなく、うまく付き合っていくための自分なりのルーティンを持っておくことが大切だと思います。今回紹介した内容を全部やる必要はありません。まずは一つ、次の試合で試してみて、自分に合うものを少しずつ見つけていってください。
よくある質問
Q. 緊張しやすい性格は変えられますか?
A. 性格そのものを変える必要はないと思います。緊張しやすいこと自体は悪いことではなく、真剣に向き合っている証拠でもあります。緊張をなくす方向ではなく、緊張と付き合うためのルーティンを持つことを目指してみてください。
Q. 試合前の映像はどれくらいの本数を見ればいいですか?
A. 本数にこだわる必要はありません。自分が「これは自信を持ってできた」と思える場面を2〜3本、短時間で見返せる形にまとめておくくらいで十分です。
Q. 声を出すのが苦手な場合はどうすればいいですか?
A. いきなり大きな声を出す必要はありません。まずは自分に聞こえる程度の声で、リズムよく発することから始めても効果はあります。慣れてきたら少しずつ声量を上げていけば大丈夫です。
Q. 前向きな言葉に置き換えても不安が消えないときは?
A. 一度で完全に不安が消えなくても問題ありません。言葉の置き換えは、繰り返すことで少しずつ自分の中に定着していくものです。焦らず、試合のたびに続けてみてください。
Q. 保護者として子どもの緊張にどう関わればいいですか?
A. 「緊張するな」と言うよりも、「ここまで練習してきたんだから大丈夫」というように、積み重ねてきた事実を一緒に振り返ってあげることが助けになると思います。
Q. 特定のプレー(送球など)にだけ強い恐怖心がある場合も同じ方法でいいですか?
A. 一般的な緊張であれば今回の方法が役立ちますが、特定の動作に恐怖心が固定化してしまっている場合は、イップスに近い状態の可能性があります。その場合は記事内で紹介した送球イップスの記事も参考にしてみてください。
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