グローブの型付けにまつわる噂・都市伝説について
こんにちは。Baseball Growth LabのSAKURAです。高校野球・大学野球を通じて内野手を専門にプレーし、甲子園出場も経験しました。現在はその経験を活かして、型付け済みグローブの仕入れ・販売にも携わっています。
グローブの型付けについては、ネットや先輩・指導者から色々な「やり方」を聞くことが多いと思います。お湯につける、電子レンジで温める、ボールを縛って固定するなど、昔から野球界でよく語られる方法ですが、実際にどこまで正しいのか、きちんと検証されているものは意外と少ないと感じています。今回は、仕入れ・型付けの仕事をしている立場から、それぞれの噂を正直に話していきます。こんな疑問を持ったことはありませんか?
- お湯につける型付け方法は本当に効果があるのか気になる
- 電子レンジで温める方法をネットで見たけど、やっても大丈夫なのか不安
- ボールを縛って固定しておくのが良いと聞くが、本当に正しいのか分からない
- 結局、どの方法が一番安全で失敗しにくいのか知りたい
先輩に「お湯につけると早く柔らかくなる」って教えてもらったんですけど、本当にやって大丈夫なんでしょうか…?
その噂、よく聞きますよね。効果自体はあるんですが、リスクもきちんと知っておく必要がある方法です。今日は仕入れ・型付けをする立場から、正直な見解をお伝えしますね。
型付けの噂の中には、効果はあるがリスクも大きい方法と、そもそもおすすめできない方法が混在しています。プロとして仕入れ・型付けをしてきた立場から、それぞれの噂を一つずつ整理していきます。
この記事の内容
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| ①お湯につける方法 | 効果はあるがハイリスク・ハイリターン |
| ②電子レンジで温める方法 | 革へのダメージが大きく非推奨 |
| ③ボールを縛って固定する方法 | グローブ本来の使い方と矛盾する |
| ④プロとしておすすめする型付けの考え方 | 時間をかけて開いた状態で仕上げる |
こんな人におすすめ
- ✅ 型付けの噂が本当に正しいのか気になっている人
- ✅ お湯や電子レンジを使った型付けを検討している人
- ✅ ボールを縛って固定する方法をすでに実践している人
- ✅ 失敗のリスクが低い型付けの方法を知りたい人
- ✅ プロの正直な見解を知ったうえで自分の方法を選びたい人
①お湯につける方法
お湯につけてグローブを柔らかくする方法は、野球界で昔から語られている代表的な型付け方法の一つです。結論から言うと、効果自体はあると私は考えています。革をお湯で温めることで柔らかくなり、その状態で握り込んでポケットを作ることで、通常より短時間で柔らかいグローブに仕上げることができます。「届いてすぐ使いたい」という人にとっては、理にかなったやり方だと言えます。
ただし、私はこの方法を安易にはおすすめしていません。お湯につける型付けは、革の状態や温度・時間の調整を少しでも間違えると、革が縮んだり、変色したり、必要以上に柔らかくなりすぎてしまったりと、失敗すると後戻りができないリスクが高い手法です。数万円かけて購入した高価なグローブを、この方法に賭けるのは正直怖いと感じています。私自身、プロとして数多くのグローブを型付けしてきた経験があるからこそ扱える方法であって、経験の浅い状態で自己判断でやるのはリスクが大きすぎると考えています。
特に注意したいのは、お湯の温度と、つける時間の見極めです。革の種類によって適切な温度は変わりますし、同じグローブでも部位によって厚みが異なるため、全体を同じように浸してしまうと、薄い部分だけ想定以上に柔らかくなりすぎることがあります。中古グローブを仕入れて型付けをする際、以前この方法で失敗したグローブを見かけたことがありますが、革の一部が波打つように型崩れしてしまい、元に戻すことはできませんでした。「早く柔らかくなる」という結果だけを見て安易に手を出すと、こうした取り返しのつかない失敗につながることがあると知っておいてほしいです。
型付け全体の期間の目安や、自分で行う場合・専門店に依頼する場合の違いについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。時間をかけられるかどうかで、選ぶべき方法も変わってきます。
②電子レンジで温める方法
電子レンジで温めて柔らかくするという方法も、ネット上で見かけることがあります。これについては、私はやったことがありませんし、やるべきではない方法だと考えています。電子レンジによる加熱は水分・油分を含む革製品にとって刺激が強すぎ、革そのものを傷めてしまう可能性が高いです。しかも、グローブ全体を均一に柔らかくしたいという目的に対して、電子レンジのムラのある加熱はそもそも噛み合っていません。
お湯につける方法は「リスクはあるが理屈としては理解できる」方法である一方、電子レンジで温める方法は目的と手段が合っていないうえに、革へのダメージも避けられません。試したことがない方法だからこそ断言はできませんが、革製品の基本的な性質を考えれば、あえて選ぶ理由のない手法だと感じています。仮に一時的に柔らかくなったように感じても、革の内部の油分や繊維の構造にダメージが残っている可能性があり、その後の型付けやオイルのなじみ方にも悪影響が出るのではないかと懸念しています。「早く柔らかくする」という目的を果たすための手段として、電子レンジを選ぶ必要性は感じられません。硬式・軟式での型付けの違いについては、こちらの記事もあわせて参考にしてください。
③グローブを縛って固定する方法
グローブの中にボールを入れて紐で縛り、ポケットの形を固定するという方法は、一般的に良いとされている型付け方法の一つです。ただ、私自身はこの方法に対してあまり肯定的ではありません。理由は、グローブというのは本来「開いて使うもの」であり、打球を捕る際も開いた状態から捕球動作が始まるはずだからです。
ボールを縛って固定する方法は、グローブが閉じた状態を「基本の形」にしてしまいます。すると、実際に打球が飛んできたときに、本来なら開いた状態からそのまま捕って閉じるだけで良かったはずの動作が、「開く→捕る→閉じる」という一手間増えた動作になってしまいます。この無駄な一動作が、コンマ数秒を争う内野の守備において、決して小さくないタイムロスにつながると私は考えています。ポケットを作りたいのであれば、開いた状態のまま握り込んでポケットの形を作っていくほうが、実戦の動作に近い型付けになるはずです。
現役時代、実際に捕球から送球までの動作を振り返ってみても、グローブが常に開いた状態からプレーが始まっていたことに気づきます。だからこそ、型付けの段階から「閉じた状態」を基準にしてしまうと、実際の捕球動作とズレが生まれてしまうのではないかと感じています。もちろん個人差はあると思いますが、コンマ数秒を争う内野の守備において、動作のリズムに違和感が生まれる可能性がある方法を、わざわざ選ぶ理由はないと今は考えています。
もちろん、型崩れを防ぐために保管時だけ軽くボールを収めておく、という使い方であれば別の話です。私が否定的に考えているのは、「型付けの主な手段としてボールを縛って固定する」という使い方についてです。型付け失敗のリカバリー方法については、こちらの記事でも解説していますので、すでにこの方法で型付けを進めてしまった方は参考にしてみてください。
④プロとしておすすめする型付けの考え方
ここまで見てきた噂・都市伝説を整理すると、いずれも「早く柔らかくしたい」という気持ちから生まれた方法だということが分かります。私がプロとしておすすめしたいのは、多少時間がかかっても、グローブを開いた状態を基本にしながら、オイルを使って少しずつ手に馴染ませていくという、地道な方法です。時間はかかりますが、失敗のリスクが圧倒的に低く、自分の手の形にしっかり合ったグローブに育っていきます。
「すぐに使いたい」という焦りがあると、お湯や電子レンジのような即効性のある方法に目が行きがちですが、グローブは数年単位で付き合っていく道具です。最初の数週間を焦らずに過ごすことで、結果的に長く安定して使える一台に仕上がります。すぐに実戦で使いたい事情がある場合は、あらかじめ型付けを済ませたグローブを選ぶという方法も現実的な選択肢の一つです。
また、噂の中には「正しい知識を持った人が行えば効果的だが、自己判断でやると危険」というものが多いのも今回検証して感じたことです。お湯につける方法はその代表例で、革の性質を理解した人が温度と時間を見極めながら行えば、短時間で仕上げる手段として成立します。逆に言えば、知識のないまま真似をすることが一番のリスクだということです。ネットの情報だけを頼りに自己判断で進めるのではなく、分からないことがあれば専門店やプロに相談するという選択肢も、覚えておいてほしいと思います。
型付け済みグローブを探している方へ
お湯や電子レンジのようなリスクの高い方法に手を出したくない、けれどすぐに実戦で使いたいという方には、あらかじめプロが型付けを済ませたグローブを選ぶという方法があります。開いた状態を基本にしながら丁寧に仕上げているため、届いてすぐに実戦に近い感覚で使い始めることができます。
自分でお湯を使う勇気はないので、最初から型付けが済んでるグローブがあるなら安心です
その判断は正しいと思います。高価なグローブで賭けに出るより、確実な方法を選んだほうが安心ですよね。気になる方はぜひチェックしてみてください。
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まとめ
- お湯につける方法は効果はあるが、失敗すると後戻りできないハイリスクな手法
- 電子レンジで温める方法は革へのダメージが大きく、目的とも噛み合わずおすすめできない
- ボールを縛って固定する方法は、開いて使う道具の基本と矛盾するため肯定的ではない
- 時間をかけて開いた状態のまま手に馴染ませる方法が、最もリスクの低い型付け
型付けにまつわる噂は、それぞれ「早く柔らかくしたい」という理由から広まったものですが、リスクの大きさは方法によってはっきりと差があります。今回の検証を参考に、自分のグローブとどう向き合っていくか、ぜひ考えてみてください。
私自身、仕入れ・型付けの仕事を通じて数多くのグローブに向き合ってきましたが、結局のところ、地道に時間をかけた型付けが一番失敗が少なく、そして一番長く愛用できるグローブに育つと実感しています。焦らず、正しい知識を持って型付けに取り組んでもらえたらと思います。
「早く柔らかくしたい」という気持ちは、グローブを大切にしたいからこそ生まれるものだと思います。だからこそ、その気持ちのまま安易な方法に飛び込むのではなく、一度立ち止まって正しい知識を持ってから取り組んでほしいというのが、今回一番伝えたかったことです。
よくある質問
Q. お湯につける型付けは絶対にやってはいけませんか?
A. 絶対にダメというわけではありませんが、失敗すると後戻りができないリスクが高い方法です。経験が浅い状態で自己判断で行うのは避け、専門的な知識がある人に相談することをおすすめします。
Q. 電子レンジ以外に、避けるべき型付け方法はありますか?
A. 極端な加熱・冷却を伴う方法や、革の質感を考えずに力任せに曲げる方法は、いずれも革を傷める可能性が高いため避けたほうがよいでしょう。
Q. ボールを縛って固定するのは、保管の目的でもよくないですか?
A. 型付けの主な手段として使うのは避けたほうがよいですが、既にできあがったポケットの型崩れを防ぐために保管時だけ軽く使う程度であれば、大きな問題にはならないと考えています。
Q. 一番失敗が少ない型付け方法は何ですか?
A. 開いた状態を基本にしながら、オイルを使って少しずつ手に馴染ませていく方法が、時間はかかりますが最も失敗のリスクが低い方法です。すぐに使いたい場合は、型付け済みのグローブを選ぶことも検討してみてください。
Q. 噂の中に、ある程度信じてもいい方法はありますか?
A. お湯につける方法は、正しい知識のある人が温度・時間を見極めて行えば効果は期待できます。ただし自己判断でやると取り返しのつかない失敗につながるため、経験のない方は避けるか、専門店に相談することをおすすめします。
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